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2010年8月11日 (水)

森園勝敏/スピリッツ

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 クール・アレイから一作飛び越えて、81年のソロ第4作。自らのバンドBEVを率いてのアルバムで1,2作目で展開していたレイドバックしたフュージョンではなく(三作目もその路線だった)、ウェストコーストAOR的な爽やかさ、ポップさ、そしてシャープなリズム感覚を全面出した仕上がり。ボーカルもけっこう沢山とっており、その佇まいはこれまでの作品より、あからさまに当時の「売れ筋」に焦点を定めているようにも思える。また、当時の日本製の音楽としては、精一杯がんばったウェスト・コーストっぽいAORサウンドでもあったろう。

 特に1曲目の「Give It Up Love」と2曲目「Nothing Could Ever Change -」、あと8曲目「Love In A Can」など、かなり売れ筋に意識した、AORポップなナンバーになっていて、サウンドもキラキラするようなシンセ、キャッチーなリフとリズム、ポップなコーラスなど、当時売れ線だった音楽が持っていた記号を沢山フィーチャーして、これまでの渋い音楽からすると(ついでにいうと、本作はいつものブラス隊は登場せず、シンセがカバーしている)、ちと本作は日和ったかな…と思わせるほどだ。ただ、こうしたポップな装いの狭間で、森園は意外にもかなり天衣無縫なギター・ワークを聴かせているのだから。世の中分からない(笑)。

 ムーディーな4曲目の「ナイト・ライツ」は、なんとなく「レディ・ヴァイオレッタ」を思い出させるような甘いトーンのギター・ワークを聴かせていて、当時、四人囃子ファンにとってはけっこう溜飲が下がった曲ではなかったかと思われる。またファンキーなリズムをフィーチャーして、かなりポップに仕上げた6曲目の「ストライキン」などは、久々に四人囃子時代の活気のようなものを思い出させもしたりするのだ。更に「Moon Gazer」は、例によってスティーリー・ダン風(というか、ドナルド・フェイゲン風というべきか)なサウンドだが、前作までの緩いところが影を潜め、かなりシャープなサウンドになっている点も注目される。

 そんな訳で、このアルバムを聴いていると、森園の本音というのがどうもわからなくなってくる。おそらく2枚目の「クール・アレイ」でやったようなアーシーでレイドバックした音楽というのが、彼の音楽的本音というか「本当にやりたい音楽」なのだろうが、このポップなアルバムで、聴ける天衣無縫といいたいようなギターを聴いていると、存外こっちが「本当の森園」で、むしろアダルトでレイドバックした音楽というのは、彼なりの気取りというか背伸びという気もしないでもないのだ。まぁ、どっちを好むかといったら、人それぞれだろうけれど。

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