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2010年8月19日 (木)

四人囃子/Neo-N

Neon_3


 キーボードの坂下秀実が脱退し、サポートとして茂木由多加が参加した1979年の第5作。内容的には前々作のプログレ・ハード、前作の「ホワイトアルバム」的なポップなヴァリエーションに変わって、大胆にニュー・ウェイブ&テクノ・ポップ的な音楽にシフトしているの。1977年の森園勝敏脱退後、3作目にして「これがあの四人囃子か」と思わせる仕上がりである。
 音楽的にはジョン・フォックス時代のウルトラヴォックス、マガジン、そしてクラフトワークあたりの影響が大なのは一聴して明確であり、そこにここ2作で明らかになってきた、ジェネシス的なシンフォニックさやブランドXのテクニカルさを散りばめたといった感じだろうか。ともあれ、1979年頃といえば、日本でもロックは大激動期だった訳で、こうした影響が四人囃子のようなバンドにまで波及しているあたりに当時の激震振りが感じられようものだ。

 1曲目は「Nocto-Vision For You」、いかにもテクノくさいガムラン風なシーケンス・パターンにハードギターエッジを絡めた折衷的な作風だが、全く付け焼き刃な感がないのはさすがだ。2曲目の「Nameless」はヴォコーダーで作られた機械的コーラス、引きつったようなリズムなどDevoっぽい仕上がりで、3曲目「Nervous Narration」はニューウェイブ・ポップ風なガサツな音づくりが逆に新鮮。4曲目「Notion-Noise」はようやく現れたという感じの重厚なプログレ作品で、「システム・オブ・ロマンス」あたりのサウンドを思わせる感触もある。
 旧B面に入り、まず「9th Night」「Neo Polis」は、多少テクノくさいがほぼ前2作ラインの佐藤ミツルのボーカルをフィーチャーした正統派ともいえる作品。3曲目の「Nile Green」のアコースティック・ギターをフィーチャーしてトラッドっぽい仕上がりも、ある意味従来の四人囃子らしい作品ということもできるだろう。4曲目「N.P.K.」は再びギクシャクしたニューウェイブ的リズムと、四人囃子的な抒情が不思議な調和を見せるユニークな作品で、5曲目の「♯」はヴォコーダーのコーラスとシンフォニックな展開が奇妙に交錯する、これもまた新旧四人囃子が混在したおもしろい作品になっている。

 という訳で、本作をざっくりと眺めると、いきなりニュー・ウェイブ/テクノ的音楽で、ドーンとイメチェン振りを披露してはいるものの、中間部では従来の延長線にある音楽も十分収めているし、後半ではその両者を上手にバランスしたような作品で構成しているから、実はそれほどとんでもないイメチェンでもないことが分かるのだが、冒頭数曲で展開される音楽がかなり強烈なため、当時のファンからはかなり抵抗があったには違いない。当時の本作のセールスがどの程度だったかはよく分からないが、おそらくそれほど売れなかったのだろう。そのせいか、本作は最後の「四人」囃子の作品になってしまうことになる。
 ともあれ、ややとっ散らかった感もあった前作に比べると、本作はテクノ/ニューウェイブ的なコンセプトできっちりと全体を統一し、タイトなまとまりを見せた作品になっている。四人囃子の面々は出来上がったコンセプトの元で、いわば職人に徹したうまみをみせていて、実は四人囃子の全アルバム中、ほとんど最高の完成度を見せているのではないかと思う。また過去を吹っ切ったような潔さと、それが故にテンションも特筆すべき点だと思う。


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