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2010年6月13日 (日)

TANGERINE DREAM / Live In Bilbao`76 Pt.1 (The Bootleg Box Set.1)

Td


 前回取り上げたクロイドンでの公演から約3ヶ月後、1976年1月のスペインはビルバオのパフォーマンスである。この時期のタンジェリン・ドリームはツアーで忙しかったのか、結局1974年の「ルビコン」から1976年「ストラスフィア」までの間は結局スタジオ録音のアルバムを残さなかったことになる。もちろんその間「リコシェ」があり、もう何度も書いているとおり、あのアルバムはこの時期のライブ・パフォーマンスの「最良の部分のみを再構成した」アルバムだから、まぁ、半分スタジオ録音といえないこともないのだが…。
 いずれにしても、1975年という年のタンジェンリン・ドリームはおそらく音楽的な充実度という点ではひとつのピークを迎えいていたことはほぼ間違いなく、この時期に彼らが入念なスタジオ・ワークでアルバムを残さなかったのは、むしろ彼らのために惜しまれるものである。

 さて、本パフォーマンスだが、意義面からいえば「リコシェ」と「ストラスフィア」と間隙を埋める演奏記録ということが出来ると思う。この時期のタンジェリンの布陣でいうと、バンド内のテンションは「リコシェ」の時がピークであり、この後は彼らはかなり急速に緊張感を失い、自己の作り上げたスタイルの再生産をするようなる…というが、私の考えだが、このパフォーマンスでもそのあたりが随所に伺えような気がする。
 冒頭の約10分は「リコシェ:パート2」の前半の抒情的空間を入念に開陳し、そこからややシュールな音響を経て、同じく「リコシェ:パート2」の後半風な遠近感のあるパーカスにのってメロトロンが活躍する場面となり、やがてシンセ・ベースなリズムが導入、そしてお得意のパターンとなっていく訳だ。もちろん「リコシェ」直近のパフォーマンスだから、まだまだ演奏の覇気やテンションは十分に高いのだが、なんというか、スタイルとして飽和点に達してしまっていて、今までの手の内であれこれやりくりしている感が強いのである。

 ひどい邪推だが、彼らは「リコシェ」を作るにあたって、あれこれと展開された自己のパフォーマンスから、最良な部分を選別しつつ、逆にそれがバンド内に刷り込まれてしまったのではないか。このパフォーマンスを聴くと、既に「リコシェ」で聴いたことがあるような音ばかりなのである。1977年に出た「リコシェ」の夢よ再びという感じで購入してきた「アンコール・ライブ」では、バンドのテンションのあまりの降下ぶりに、愕然としたものだが、この時にその萌芽はあったといえる。
 さて、このパフォーマンスの後半であるが、シンセ・リズムの王道パターンの中、やがてギターがフィーチャーされ、この時期特有の狂おしいテンションが感じられる素晴らしい演奏になっていく、このあたりは最盛期ならではものといえるだろう。ちなみにこのパートでは、最後の最後までシンセベース風のリズムが途切れずに鳴っているが、このパターンは多少珍しいかもしれない。

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