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2010年6月 5日 (土)

四人囃子/ゴールデン・ピクニックス

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 76年の2作目。当時の一般的なロック・ファンはこれによって彼らを知ったという人が多かったはずだ。メジャー・レーベルから作品、メンバー・チェンジ(この間にキーボードが坂下秀実から茂木由多加、ベースが中村真一から佐久間正英となっている)、そして1976年という時代的な要請によって、彼らの音楽は1作目のようなアングラ然としたところは後退、全体にポップで明るく、どこか突き抜けたようなサウンドを展開しており、同時に音楽主義的というか、技巧主義的なところも色濃くなっていった。

 なにしろ1曲目がビートルズの「フライング」のカバーなのである。同曲とバンド自体が持つ「浮遊感」という共通点でもって選曲されたのだろうが、シンセとレズリー・ギターを駆使したカラフルな四人囃子のサウンドをもってしても、-当時からしてガチ過ぎて-ある種のあざとさを感じたくらいである。2曲目の「カーニバルがやってくるぞ」はデビュー作の雰囲気を残しつつも、かなりスピード感を上げ、相当に賑々しいサウンドになっていてバンドの変貌を思わせずにいられない。また、3曲目の「なすのちゃわんやき」はプログレ的なスピード感、変拍子を、どことなく和風で飄々とし、かつユーモラスなサウンドで表現した本作の代表作ともいえる名曲だが、この曲にも不思議なポップさがただよっている…という具合で、A面で聴ける4曲では、前作のじめじめしてアングラ風な雰囲気はほぼ一掃されていているといってもいい。

 一方、旧B面の大作「泳ぐなネッシー」は少なくともテーマの部分だけは、「かつての4人囃子」を感じさせる曲といえる。曲調が一転して目まぐるしく展開していく中盤以降は、プログレをも通り越してもはやフュージョン的なスピード感も感じさせたりもするのだが…。またオーラスを飾る「レディ・パイオレッタ」は、森園の甘いトーンのギターを前面的にフィーチャーし、ほぼ完全なAOR風フュージョン作品になっていて(サンタナ風でもあるが)、同時期のセバスチャン・バーディーのマリオ・ミーロもほぼ同様な音楽的変貌をしていたが、ともかく一作目とはほぼ別バンドの趣きの音楽になっている。

 まぁ、要するに過渡期だった訳である。周知のとおり四人囃子は本作をもって、ギターの森園が脱退して、本作の過渡期的な要素すら無効化するようバンドになっていく訳だけれど(まるでソフトマシーンのようだ)、ともあれこのままバンドが続いていたとしても、おそらくバンドはきっとプリズムのようなバンドになっていたに違いなく、その意味で、この一瞬見せた「過渡期の音楽」こそ、実は四人囃子が見せた、実は一番輝いた瞬間なのではないかと思ったりもする。


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