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2010年6月16日 (水)

四人囃子/2002 Live

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 2002年に行われた"森園"四人囃子のリュニオン・ライブである。メンバーは森園勝敏、岡井大二、坂下秀実というデビュー作の布陣である。私はよく知らないのだが、四人囃子は80年代の終盤からライブなどでは散発的に再結成を繰り返していたらしいが、この2002年の復活はこうしてアルバムを出していることからも分かるとおり、かなり気合いの入ったものだったらしい。収録曲はデビュー作「一触即発」と「ゴールデン・ピクニックス」から名曲で大半が占められていて、それ以降の作品や新曲の類は全く入っていない。潔い選曲というべきだろう。

 まぁ、こうした経緯もあってか、内容は基本的に「懐かしの再結成」みたいなものである。ただし、前述ののようにそれなりに準備期間というか、馴らしの活動期間があったせいだろう、「旧友の再会セッション」的な即席感やくたびれた感じは全くなく、非常に充実している。特に森園の円熟のギター・ワークが問答無用の素晴らしさである。往年の彼はクラプトン、サンタナ、ギルモアなどの影響があまりにもあからさまな、日本製ギタリストだったけれど、これだけの年月が経た現在、もうそんな影響云々はどうでもよくなってしまい、「森園のギター」だけが聴こえてくるのは、森園自身の変化もさることながら、やはりリスナーの方の受容姿勢が今やすっかり様変わりしていることも大きいと思う。

 演奏には70年代のナイーブさやシャープさは当然にない。メンバーが50代後半なのだから、当たり前である。ただし、その分、練達のテクニックと経験でもっで、往年の曲を実に大らかにバンド自身が楽しんで演奏しているような老獪で円熟した良さがあり、聴いていてオリジナルから不足感や欠落感といったものをほとんど感じさせないのはさすがだ。例えば「泳ぐなネッシー」など、さすがにテンポが上がってからの、目まぐるしい展開は、オリジナルに比べると多少もっさり感があるものの、ここで聴けるちょっとモヤとしたようなうねりのような感覚は初期の四人囃子そのものであり、ここに当時より数段豊穣なフレージングを聴かせる森園のギターが入って、結果的には昔よりこちらの方がいいんじゃないかと思わせたりするくらいだ。

 また、昔も今のステージのハイライトに登場するらしい「一触即発」の前曲から切れ目なしにスタートするが、原曲にあったフロイド、パープル、ELP、サンタナのあからさまなコピーみたいなところは、既に確実に昇華され、現在ではスタンダローンな名曲としての、風格すら感じさせるような演奏になっているのも、やはり時の流れを感じずにはいられない。また「レディ・ヴァイオレッタ」もオリジナルのフュージョン風なところはぐっと後退させ、森園のロック的ボキャブラリーで再構成したようなアレンジになっていて、前後のプログレ風な曲と並べても違和感のない演奏になっている。それにしても、この曲はプログレというよりも、明らかにフュージョンといった趣の曲だが、いずれにしても日本のギター・インスト史上に残る名曲だと思う。

 アルバムのラストには「CYMBALINE」が演奏されている。70年前後のフロイドのステージ・ナンバーとして一時ファンには有名だった曲だが、おそらく70年代に四人囃子はステージで頻繁に取り上げていたのを再現したというところだろう。四人囃子はフロイドの影響が濃厚なバンドだったから、さぞやフロイド的な演奏になっているのかと思いきや、彼らほどにはシュールでも特有な浮遊感かある訳でもなく、もう少し日常的な幻想風景を見せてくれるあたり、逆に四人囃子という「日本のバンド」の個性が出た瞬間といえなくない。という訳で、このオマケの一曲も含め全編に渡って非常に充実したライブ・アルバムである。ファンならめっぽう楽しめること請け合いだ。


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