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2010年5月 4日 (火)

the NICE/Live at the Fillmore East Dec 1969 (Disc.1)

Live_at_the_fillmore_east

 最近発掘されたらしいフィルモア・イーストでのライブ音源。ありがちなブート起こしなどではなく、きちんとしたSB録音である(8トラックの模様)。69年12月といえばナイスがこのフィルモアでキング・クリムゾンと遭遇した時期でもある。当時、クリムゾンでベースとボーカルを担当していたグレッグ・レイクがキース・エマーソンと意気投合し、ELP結成に突っ走るのは周知の事実だが、いずれにしても、この時期のナイスはエマーソンのミュージシャン・エゴが異様にふくれあがった状態であり、それに拮抗するには他のふたりがいささか役不足になりかけてもいた。いわばバンド内部的からみても、既に解散直前でもあった訳だ。ELP結成後に発表された「エレジー」には、エマーソンの独演会と貸したライブが数曲収録されていたが(このアルバムと「エレジー」には同一テイクはない)、このアルバムはその時期のナイスのステージをほぼフルに収録されたものとして注目できるものだ。いったい、ナイス最終期のライブとはどんなものだったのか。


01. ロンド
 お馴染みの汽笛からスタート。私のような世代だとこのイントロはむしろELPでの印象が強いが、ナイスの時代から既にこれをやっていた訳だ。同曲は3作目でもライブにも収録されていたが、あの時のパフォーマンスに比べ、よりスピード感が増しドライブした演奏で、エマーソンはまさにこの時期ならではの縦横無尽のプレイをしている。「ロンド69」からわずか一年にも満たないはずの演奏だが、それだけエマーソンのエゴが急激に膨張していたということであろう。もっとも、その後のELPでの「ロンド」を知っている人間としては、これでも十分に端正な演奏に聴こえもするが。ちなみに3作目では入っていたイントロでの「イタリア協奏曲」の引用はここではない。そのかわりといってはなんだが、途中で「夢見るクリスマス」でお馴染みのプロコフィエフの「キージェ中尉」がかなりしつこく引用されている。

02. 少年易老学難成
 原曲は第二作の「少年易老学難成」のB面を使い切った大作だった。オーケストラと初共演ということでも注目される作品だが、このステージではオーケストラなどいる訳もないので当然トリオでの演奏である。演奏としては、序盤のフリー・フォームな部分は、ドラムソロなども含め延々と展開されるが、こういうのは69年という時代のライブでは当たり前のことだった。やがて、リーのボーカルをフィチャーしたメインの主題が登場、この部分はオリジナルをほぼ敷衍したアレンジになっている。次もほぼオリジナルと同様にラテン・リズムにのったソロの展開となるが、これが盛り上がったところで、ちょいとバッハ(「トッカータとフーガ」)を引用して、そのまま終わってしまう。オリジナルではこの後のバッハのブランデンブルグ協奏曲第3番の第1楽章をアレンジして、全曲のクライマックスとなるのだが、それが演奏されないのはいかにも残念だ。オケが居なくもやった例はあると思うので、ひょっとするとアメリカのオーディエンスでも意識したのかもしれないが。

03. リトル・アラベラ
 ナイス初期のサイケの流れを汲んだ不思議ポップ系とでもいえる曲(第2作に収録)。エマーソンのミュージシャン・エゴが膨張しきった解散直前の時期とはいえ、延々とインプロの垂れ流しばかりをやっていた訳ではなく、こんなポップな曲もやっていた訳である。もっとも、ソロやバッキングで聴こえるオルガンはいかにも饒舌で長いが(極めてジミー・スミス風、ついでにバッハも登場する)、全体としてはぎりぎりスタジオのアレンジに忠実な演奏となっているのも意外だ。ついでにいえば、オリジナル通りエマーソンが途中でちゃんと歌っているのは笑ってしまった。

04. シー・ビロング・トゥ・ミー
 第3作にも収録されたディランの曲。ナイスはこのとりとめもないディランの曲を素材としてよほど気に入っていたのだろう。近年行われたナイスの再結成でも取り上げていた。周到なのか、適当なのかよくわからないアレンジは前回と同様たが、「ロンド」同様、オリジナルより、テンポをいくらか早めてメリハリある演奏になっている。エマーソンは例によって饒舌の極み。途中はE.バーンスタインの「荒野の七人」、バッハの「無伴奏ヴァイオリン組曲」、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」などを引用をしつつ、オルガンとの格闘に突入していく(「エレジー」での「アメリカ」と同パターン)。終盤はラロ・シフリンの「スパイ大作戦」の引用しつつエキサイティングに展開。オリジナルではバッハの引用で律儀に終わっていたのに比べると、かなり違う趣向になっている。

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