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2010年5月 7日 (金)

MARILLION/Anorak in the UK

Marillio_anorak_in_the_uk


 2002年発表されたマリリオン4作目のライブ。最近のメジャー系バンドはブート対策なのか、新作を発表してツアーを敢行すると、間髪入れずにライブ盤を出すことが多い。以前はバンド活動の区切りだったり、ベスト盤的な体裁だったりしたものだが、現在は現況報告というか、ダイアリー的なものに様変わりしつつあるようで、マリリオンも本作あたりからそういう傾向を見せるようになったと思う。
 とはいえ、本作は直近の近作3作を中心にセレクトされた2枚組で、確かにこれまでと同様なベスト盤的な体裁もあるが、従来のようにアルバム・リリース毎に行われた各々のツアーからの選りすぐりベストテイクを集めたのではなく、2002年に行われたAnoraknophobiaツアーの3公演(+α)というシンプルな構成になっているあたりにそれを伺わせる。次の「Marbles」以降はスタジオ盤の後はライブ・アルバムというパターンがほぼ定例化していることを考えると、やはりこのアルバムあたりがきっかけとなっている気がしないでもない。

 さて、内容だが「Anorak」から「Separated Out」、「marillion.com」から「Rich」といういささか地味だが、彼らとしてはハードなナンバーからスタートする。マリリオンはイギリスのバンドらしく、ライブでも基本的にスタジオ版に忠実な演奏するバンドだけど、この2曲は尻上がりに調子を上げていくという感じで、3曲目の「千の顔を持つ男」あたりで絶好調、かなり盛り上がりを見せる。
 お次の「クウォーツ」はやはり「Anorak」からの作品だが、ライブだけあって、モズレイのドラムが大きくミックスされて、アンビエント的なスタジオ版とはちと違う趣きになっていて、ライブらしい豪快なノリのサウンドが楽しめる。モズレイの単調なドラミングに耐えて耐えて、ここ一発で炸裂するバンド陣のテンションは素晴らしい。
 ディスク1の後半になると、多少時期を遡って、1990年代中盤くらいナンバーを連打。全体な雰囲気もゴシック的なプログレ色も強まり、「Afraid of Sunlight」で盛り上がった後、いかにも第一部終了って感じで、「ブレイブ」から「Mad」が出てくるあたりの呼吸がいい。一瞬にして「ブレイブ」のあの世界につれていかれてしまう。このあたり、良い意味で、金太郎飴なマリリオン・ワールドも実はゆっくりと変化していったことを実感する場面だ。

 ディスク2はやはり「Anorak」から「Between You」からスタート。スタジオ版のピアノとは異なるSEの導入で始まり、全編に渡りライブっぽい感興に満ちた演奏で、かなりノリノリな演奏になっている。続いては「ブレイブ」のハイライトを飾る感動の名曲「The Great Escape」が唐突に登場。オーディエンスの大合唱が聴こえるが、この曲はこういうお膳立て聴いても、やはり人を感動させるオーラのようなものを感じる。
 中盤になると再び「Anorak」から「If My Heart」が始まる。異色なボサ・ノヴァ風のイントロからヘビーなリフ、そしてプログレ的展開へと山あり谷ありのサウンドだ。バンドの屋台骨を支えるイアン・モズレイのドラムは重厚そのもの、かつて所属したウルフやトレースとはかなり異質なドラミングになってしまったが、中間部のテクノ風な音楽での変わり身の早さなど、やはり実に素晴らしいものを感じる。
 続く「Waiting to Happen」は「楽園への憧憬」から曲だ。名曲「Easter」と同タイプの抒情的な佳作なのだが、オリジナル・アルバムでは地味なポジション故に目立たない作品になってしまっているが、このライブで見直した人も多いかと思われる雄大な演奏である。幕間的な配置の「Answering Machine」を経て、ご存じ「Afraid of Sunlight」からの名曲「King」をドラマチックかつシンフォニックに演奏して幕となる。

 アンコール的に収録された2曲はボーナス・トラック扱いだろうか。ここまでの音源とは別のスタジオ・ライブを使って、「Anorak」からの「This is the 21st Century」「When I Meet God」が収録されている。前者はアンビエント風味一杯のアシッドな趣きが強く、後者はマリリオンらしいトラッドな抒情とテクノ風な部分を違和感合体させた作品だが、ここではほぼオリジナルに準じた演奏になっている。個人的にはどちらも大好きな曲なので、ここに収録されているのはうれしいが、会場が小さいせいか、オーディエンス・ノイズがほとんどなく、まさにスタジオ・ライブといった風情であり、それまでとは音の質感がちと違うので多少違和感を覚えないでもない。やはり、ボーナス・トラック扱いなのだろう。

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コメント

Twitterの方でさんざ呟きましたが、1枚ものの方はアンコールとおぼしきEasterが、出だしからオーディエンスとの合唱、というか斉唱か…で始まって、ギターソロを経て大盛り上がり。

ベスト・トラックといっていい程の出来です。いっぽうで、「千の顔を持つ男」と「When I Meet God」の2曲が収録されていないのが辛いところ。

いずれにしても、良い出来のライブ・アルバムだと思う。

> 、「千の顔を持つ男」と「When I Meet God」の2曲が収録されていないのが辛い

 私は当然その気はないですが(笑)、最近じゃ公式ブートも始めたし、マリリオンの音源を全部コレクションするのは、かなり大変そう。
 違うところに書いたけれど、本作にしても、「Marbles」にしても、「本来シングル・アルバムであったものを2枚組に拡大したのか」それとも「2枚組を凝縮して1枚にしたのか」、アーティスト側はどういう認識なのか、けっこう気になります。

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