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2010年4月 1日 (木)

TANGERINE DREAM / Live In Sheffield `74.10.29(Bootleg Box Set Vol.1)

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 タンジェリン・ドリームは、彼らの全盛期のひとつであるヴァージン・レーベル初期、つまり70年代中盤に「リコシェ」というライブ・アルバムを残している。この時期の彼らが残した「フェードラ」「ルビコン」「ストラスフィア」といったアルバムはどれも名盤だが、「リコシェ」はライブ・アルバムであるにもかかわらす、前述の3枚に伍して何ら遜色のない、いや、ひょっとすると、それ以上に優れた音楽を展開していた傑作であった(ニック・メイスンが参加しているのもポイントが高い)。
 かの「リコシェ」は当時のタンジェリンが行っていた無数のライブ・ステージを収録したテープから、優れたパフォーマンスのみを抽出し、再構成されたアルバムだった。結果的にタンジェリン・ドリーム的なるものが非常に高密度に凝縮されていたことに加え、巧みな編集によって、まるで最初から1つの楽曲であったとしか聴こえないほどに、スムースな推移とスリリングな構成が感じられる、完成度の高い楽曲に仕上げられていたのである。

 さて、数年前に発表されたこのオフィシャル・ブートレッグ・ボックスは、1974年から75年にかけての行われた5つのライブ・ステージの模様がほとんど編集なしで収録されているものだ。今回聴いているのは、74年のシェフィールドでのライブであるが、「リコシェ」より多少以前のステージだから、様相が違っているのは当然だとしても、かなり「リコシェ」とは異なるパフォーマンスになっている。楽曲はノンストップで45分ほど続くものだが、まず驚くのは当時のタンジェリンの「売り」であったはずの人力+シーケンサーで醸し出されるエレクトリックなリズムが後半に多少出てくるくらいで、全体としてはあまり目立たないことだ。
 音楽はホワイト・ノイズ風なSEから始まり、最初の30分間はほぼ辺境の惑星の幻想的な風景を綴ったようなスペイシーの音楽に終始しており、例のリズムが出てくるのは、30分も過ぎたあたりである(それもかなり地味)。なので、音楽の様相はむしろオール時代の「ツァイト」や「アテム」のスタティックなイメージに近く、「ルビコン」、なかんずく「リコシェ」とはかなり違った印象を受けるのも確かである。

 当時、彼らのステージはオール即興といわれていたが、このパフォーマンスから分かることは、少なくとも当時の彼らは、ライブでは本当にいろいろなことをやって、これはその中でもかなりスタティックで、昔のスタイルでやってものたまたま捉えたものだろうということだ。私は「リコシェ」というアルバムは、ほぼリアルタイムで聴いたクチだが、こんな凄まじい演奏を全て即興でやってのける、彼らのパフォーマンスに驚愕したものだったが、今から思えば、あれは当時の最高のパフォーマンスのみを凝縮した、いわば「グレイテスト・ヒッツ・ライブ」だった訳である。
 という訳で、あれから長い年月を経て公開された、このルーズでだらだらしたライブを聴くと、当時、個々のステージで展開された彼らライブ・パフォーマンスと「リコシェ」は、明らかに別物であったことがよく分かる。いや、ルーズでだらだらしているからこそ、このアルバムは当時の本当のタンジェリンのライブが堪能できで、ひととき幸せな気分になれるのではあるが....。

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