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2010年4月 7日 (水)

STEVE HACKETT / Darktown

Darktown


 スティーブ・ハケットもほぼ10年分未聴アルバムを溜めてしまった。彼の場合、ジェネシス・トリビュート・アルバム、来日、そしてEMIから出たクラシカルな「真夏の夜の夢」、そして本作あたりまではなんとか追いかけたが、その後、ライブ音源を大量に発掘したから縁遠くなってしまったような気がする。今、彼のウェッブサイトで調べてみたのだが、その間に出たアルバムは、持っているものもあれば、存在自体を知らないものまで、計6,7枚はあるようで追いつくのが大変だ。いや、単に購入して持っているだけでもいいのだが、こういう昔からお馴染みさんというか、自分の音楽感を育ててくれたアーティストともなると、やはりその恩義から?、きちんと音楽を聴いてあげたいという気持ちも強い。購入して一回聴いて「あっ、このアルバム、こういう感じね」と、済ませてしまいたくないのだ。

 さて、この「ダークタウン」だが、リアルタイムではあまり聴いていないような気がする。なにしろ冒頭の「Omega metallicus」がまずかった。ストロングでアシッドな打ち込みビートがいきなりフィーチャーされ、「あれ?、今度のハケット日和っちゃった??」みたいな感じだったし、次の「Darktown」も彼のモノローグ風なボーカルをフィーチャーしたかなりエキセントリックなサウンドになっていてすっかり当てられてしまったからである。スティーブ・ハケットという人は実にいろいろな音楽的引き出しをもっている人だから、このアルバムの場合、レギュラー・アルバムの途中でたいてい出してくるエキセントリックな凶暴系サウンドを、たまたま冒頭からやっているだけということは考えられるし、今を聴けば特にこのアルバムだけが特異ということもなくもないのだが、やはり、冒頭2曲にこれを持ってきた効果は強烈であった。なので、私にとってこのアルバムはどうも手を出しにくいアルバムになってしまったのだ。

 ところが、このアルバム何度か聴いていると、くだんの2曲を通り過ぎでしまうと、実はこの意外にも佳曲揃いなのことに気がついたりする。3曲目「Man Overboard」は陰影の飛んだアコスティック・バラードだし、5曲目はトニー・バンクスのアルバムにも参加していたジム・ダイアンドのボーカルをフィーチャーした「The Golden Age Of Steam」は壮大の夕暮れみたいな美しさがある作品、6曲目の「Dreaming With Open Eyes」は場違いなボサノバのリズムが不思議に気持ち良く、7曲目「Twice Around The Sun」とラストの「In Memoriam」はハケットのギターとメロトロンをフィーチャーした雄大なシンフォニック作品(後者の聖歌のようなコーラスと哀感はなかなかだ)という具合で、傾聴すべきところや聴かせどころは沢山あるのである。しばらく前にTwitterで話題になり、それがきっかけで聴いてみたのだが、聴くほどに「あれ、こんなに良かったけかな」、「あぁ、自分はどうしてこんなおいしいところをこれまで聴き逃していたのだろう」と感心してしまうくらいなのである。

 どうやら、この作品、特定のストーリーかアルバム・コンセプトのようなものがあって、それを敷衍した音楽をやった結果、こういう独特な構成、雰囲気になったのだろうが、その良さを体感するには、やはり多少は聴き込むという作業が必要....ということを痛感した。昔は「聴き込む」なんてのは、当たり前のことだったが、世の中がどんどん刹那的になり、今や音楽にしろなんにしろ、すぐに快感を感じられないものはすべからくダメみたいな風潮になっているから、こういう作品はなかなか評価されないのだろうなとも感じた次第であある。いや、人のことは全然とやかくいう資格はなんだけど。

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コメント

4曲目~9曲目(「ジェーン・オースティンズ・ドア」)までが特に好きですね。ノスタルジアを特に強く刺激される曲が並んでいて、おれの場合はリアルタイムから聴き続けているけど飽きないっす。

ただ、何度聞いても「ジェーン・オースティンズ・ドア」の冒頭にジャン・ポール・サルトルという単語が歌われているんだけど、そう聞こえない。

> 4曲目~9曲目(「ジェーン・オースティンズ・ドア」)までが特に好きですね

この部分はハケットの幻想美がいい形で出てますよね。私も改めて聴いて魅了されました。本文にも書いたけれど、このアルバム、とにかく1曲の打ち込みリズムでほんとうに損している思います。やっぱ1曲目ってのは大事。ハケットだと「エブリデイ」で始まるアルバムなんか、もうあれ一発で名作確定ですもんね(笑)。

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