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2010年4月16日 (金)

SECRET GREEN / To Wake The King

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 一般的にエニドの全盛期といえば、やはりデビュー作から第4作目ということになると思う。もちろんその後も「ザ・スペル」とか「ホワイト・ゴッデス」といった傑作と呼べるアルバムも少なからず発表はしているのだけれど、それらの作品に対して「何かが足りない」と思ってしまうのも確かなのである。では、第4作目以降のエニドが失ってしまったものとは何か?。もちろん、いろいろな考え方があるとは思うが、その大きなものはやはりフランシス・リカーリッシュなのではないだろうか。彼が初期のエニドで何をやっていたのか、実はよくわからないところもあるのだが、ある種の退廃的で耽美的な文学性だとか、マーラーからほとんど引用といいたいような影響(これはゴドフリーにもあるが)、謎解きのような仕掛け、そしてある種のコンセプチュアルやムード的な部分(第1作の「最後の審判」、第2作の裏ジャケに掲載された詩)といったものは、実はリカーリッシュに負うところが大きかったではないかと、私は思ったりしているのだ。

 さて、このアルバムはそんなリカーリッシュがリーダーとなって結成されたシークレット・グリーンのアルバムである。この30年の間、彼が何をやっていたのか私は全く知らないし、どうして今頃になってこんなバンドを結成したのかも良く分からないが、とにかく本作は初期のエニドのコンセプトをある意味継承する形で作られた音楽になっている。バンドはリカーリッシュの他、元エニドのウィルアム・ギルモア(key)、ヒラリー・パーマー(Vo)の3人にギターとドラムを加えた5人組で、ゲストにこれまた元エニドのデビッド・ストーリー(ds)や、なんとロバート・ジョン・ゴドフリーその人の名前まで見えるからおもしろい。音楽的には、もちろんゴドフリーが居ないのだから、エニドのサウンドとは微妙に違うが、本家と同様に疑似管弦楽をベースにしたクラシカル・ロックで、随所に全盛期のエニドに近いあの香りが感じられるのはなんともうれしいところだ。また、女性ボーカルをフィーチャーし、全体的に中世風な香りが強いところはエニドにはあまりない部分である。

 アルバムはワーグナーの「ラインの黄金」の序奏部のような雄大な幕開けで始まり、マーラーの交響曲第3番の第4楽章の引用、「死の舞踏」、またエニド時代の楽曲も多数引用しているあたりは、非常にエニド的な部分であり、ロック・ビートにのってうねるようなギターで繰り出されるフレーズは全くもってエニド的なものである。ただし、疑似管弦楽の編曲はエニドとは違っていて、金管や木管系がシミュレートが重視され、ストリングス系はエニドほど執拗な感じはなくあっさりしている感じだ。また、トラッドな女性ボーカルを随所にフィーチャーして中世風に典雅な趣きに接近するところが多数あるが、これはおそらくリカーリッシュがエニドでやり損ねたところだったと思う。
 そんな訳で全体としては、女性Voが入った「アルビオン・フェアー」って感じだろうか。リカーリッシュも歳をとったせいなのか、聴く前に期待したようなかつての耽美さ、退廃美といったものはそれほどでもなく、この点では少々肩すかしだった。ひょっとするこうした部分は、やはりゴドフリーのセンスだったのかもしれないな....などと今になって思い直したりもしているのだが。

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