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2010年4月17日 (土)

PINK FLOYD / The Wall(その1)

Pinkfloydthewall

「ファイナル・カット」同様、このスタジオ盤はずいぶん久しぶりに聴く。昔はほとんど全くといっていいほどピンと来るところがない音楽だったが、先にライブ盤を聴いていたことが効を呈したのか、今度はかなり印象がいい。また、先日聴いた「ファイナル・カット」はウォーターズのソロ作品そのものといった感じだったけど、こちらは非フロイドのメンバーも大量に参加した大規模なプロジェクト作品という性格を持ちつつも、しっかり「フロイドの音楽を聴いている」感じがするのもいい。この時点ではギルモア(メイスンも)がフロイドに対して、音楽的アクティビティをもっていたからだろう。
 とはいえ、このスタジオ盤聴いて気づくのは、大半の曲が一見普通なロック・スタイルで演奏されている点だ。ボブ・エズリンによるかなりの刈り込み作業があったことね歴然としているし、彼らにして、そこまで「かみ砕いた音楽」に駆り立てた動機とは一体なんだったのだろうと、聴いていると改めて思ってしまう。当時のブログレというスタイルがなかば陳腐化してきたことによる時代の要請だったのか、ウォーターズが構想したコンセプトがそもそもこういう音楽スタイルを要求したのか、はたまたあまりにもふくれあがったマテリアルをコンパクトにするための措置だったのか…。おそらく、それら全てだったのだろう。

 アルバムはハードなギルモアのギターがフィーチャーされた「In the Flesh?」のからスタート。このあたりサウンドは直近のギルモアのソロ・アルバムからのフィードバックも感じるが、あまりくどくど展開せず、すぐに刺激的なSEが入って次にさっさと以降して行く。次の「Thin Ice」は後半こそフロイド的なサウンドで盛り上がりるものの、やはりさっさと終わってしまう。この部分はギルモアもメイスンも実にフロイドしているから、私みたいなロートルだと「もっと長く聴かせろ!」と思ってしまうのだが(笑)、このあたりの踏ん切りの良さこそ、79年という時代の産物だったのだろうと思う。
 続く3パートからなる「Another Brick In The Wall」組曲?は、イントロ的なパート1、SE「The Happiest Days Of Our Lives」を挟んでのパート2と非常にテンポよく進んでいく、なにしろパート2など基本的には当時隆盛を誇っていたディスコ・サウンドに接近したものであり、当時の私はこれに激しい違和感を覚えたものだが、よくよく聴くと中間部のギターはソロではフロイド的なサウンドに回帰して、しっかりバランスをとっているあたりは巧みなブロダクションという他はない。また「Mother」はアナログ盤での旧A面のエンディングとして置かれた曲だと思うが、フロイド流の牧歌フォークをベースに、これまでとはやや異質な空間を形成している。エレクトリックな流れはこれで一旦終止符をうち、最後にアクセントを持たせているという感じだ。また、第一部の終わりに相応しい盛り上がりをも見せてもいる。この起承転結感覚は絶妙である。

 第2部は「Mother」の流れを受けてアコスティックな「Goodbye Blue Sky」で開始される。こちらは「おせっかい」の頃を思わせるギルモア主導の不思議系フォークな作品で2分程度の曲で、これなど71年だったら、あれやこれやとこねくり回しこの倍の時間はかて演奏していたであろう。だが、これも次の間奏曲風な「Empty Spaces」にさっさと移行してしまう。「Young Lust」は前者は直近のギルモアのソロに入ってそうなハードでポップな曲でリズム・パターンは典型的なAORのそれだったりして、今聴くと可笑しいが、実は意外にもフロイド的なサウンドである。が、これもまた3分半程度で切り上げて、次に移行する。このあたりはロック・スターとなっていく主人公の幼年期の走馬燈的エピソードを通じ、主人公の壁が形成されていくプロセスを表現ということになるのだろう。
 「One of My Turns」はスペイシーなSEの後、「ふと我に返った」的主人公の内省的な心象が歌われた後、リズミックな展開となる。3分程度の曲だが実質的に3つの曲が内包されていて、これも10年前のフロイドなら7,8分くらいかけて大規模なメドレーで演奏したと思われるような情報量をコンパクトにまとめている。きっと、ボブ・エズリンがかなりハサミを入れたに違いない。続く「Don't Leave Me Now」はシュールな光景を歌っている。ウォーターズお得意のスペイシー・サウンドで、ドラマ的には主人公の変転を表現している部分らしいが、詩がわからなくてもそういう流れが感得できるのは、音楽がそれだけ優れているからだろう。曲の後半では典型的なフロイド・サウンドとなり、人間らしい情緒が戻ってきたところで、一気に流れが速まり「Another Brick In The Wall」の再現、そしてエンディング的モノローグである「Goodbye Cruel World」がそれぞれ短く演奏されて、第二部終了のエンディングとなる

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