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2010年4月10日 (土)

PINK FLOYD / Final Cut

Finalcut

 ピンク・フロイドの「落ち穂拾い」シリーズ?として、昔、聴き逃した作品をこのところ思いつくままに聴いているところだが、このアルバムも多分四半世紀振りくらいに聴いた作品である。この作品、発表当時にLP盤で聴いているはずだし、それからも何度となく耳にもしているいるハズなのだが、既に何度も書いているとおり、この時期のフロイドは70年前半までのフロイドとはあまりにかけ離れた、「ウォーターズの音楽」になってしまったことに対する拒否反応を近い物を感じたせいで、これらの作品は全く縁遠い作品になってしまっていた。ところが、先日の「ウォール・ライブ」やウォーターズのソロ作は、今聴いてみるとなかなか良い感触があり、その勢いにのって?本作も聴いたみたという訳である。今回も自分のツイート・ログを元にその収録曲をなぞってみることにしたい。


01 The Post War Dream(3:00)
 冒頭のラジオ風なSEはウォータースの十八番。そこから幼年期の光景を追想するような幕開けは、マイケル・カーメン(バロン、未来世紀ブラジルなど)編曲による壮麗なオーケストラも加わって、いかにも「壮大な最終章の序奏」という雰囲気を醸しだし、なかなか感動的だ。ただし、ここには旧来のフロイド的な屈折も浮遊感は既に既になく、あるのはウォーターズの私的な空間である。ちなみに昔はそれが気にくわなかったのだが。

02 Your Possible Pasts(4:26)
 この曲など、その後のウォーターズが展開することになるなアーシーなブルース色がちらほら出ている(同時に70年前後の脱色フォークの思い出せたりする)。ここぞというところで急激にテンションの上がるボーカルはいかにもウォーターズ節といった感じだが、この部分は全編を貫くテーマとしてアルバムに何度か登場する。途中でギルモアのギターが出てくるが、私などここでようやく本作がフロイドだったことを思い出したりする。

03 One Of The Few(1:11)
 アコギのつまびきとSEを背景に、モノローグ風に歌われる曲で、一種の場面転換の音楽。全体としては、「ウォール」的な閉塞感に囚われた主人公の心情を描写しているようである。時計のSEと遠近感がヘッドフォンで聴くと絶妙。

04 When The Tigers Broke Free(3:16)
 ボーナス・トラックとしてCD化に際して付加された曲。私はアナログ時代にこの作品に馴染んでいなかったので、ここに曲がプラスされることに違和感はないが、旧来のファンにとってはどうなのだろう?。本作は大戦中に亡くなったウォーターズの父親に捧げられた作品とのことだけど、そういう苦いノスタルジーが良くでている。カーメンのアレンジによるオーケストラとコーラスがスケール感を演出した、映像を喚起させる仕上がりである。

05. The Hero's Return(2:43)
 5曲目にしてようやくバンドらしいアンサンブルを感じさせる曲が登場となるが、とりたて目立つインスト・パートがある訳でもなく、これもどちらかといえば、いささか散文的な間奏曲風なもので、2分半強で終わってしまう。

06 The Gunners Dream(5:18)
 これもその後のウォーターズを感じさせるゴスペル風味を匂わせた曲で、途中、ボーカルからサックスへのリレーションにニヤリとさせられる。それにしてもフロイドはもちろん、そのメンバーのソロ作品に至るまでこの時期の作品というと、みんな絵に描いたようにサックスを入れたがるのは何故だろう?。ともあれ傷ついた者が振り返る過去の憧憬みたいなイメージはなかなか感動的だ。オーケストラのアレンジと同時にピアノも担当しているらしいカーメンは見事なリック・ライト役を努めている。゜

07 Paranoid Eyes(3:41)
 これもモノローグ風なボーカルをフィーチャーしたゴスペル風な曲で、多分、アナログ時代だとこれがA面の最後だったのだろう。ノスタルジックなSEとオケが雰囲気を盛り上げる。ただし、前曲もそうだったが、ここではギルモアもメイスンもほとんど不在の音楽になっている。

08 Get Your Filthy Hands Off My Desert(1:17)
09 he Fletcher Memorial Home(4:12)
 前者はSEも曲自体も前曲のムードを引き継いで始まる。室内楽風なバックにのって歌われる第2部の導入的作品。後者はウォーターズ版「エリナー・リグビー」というか、クラシカルなオーケストラに乗ってかなりオペラ的なドラマを感じさせる仕上がりになっている。このアルバムで展開されているドラマを私は全くわからないが、叫ぶウォーターズの切迫感はなかなかだし、それを受けて活躍するオーケストラ、そしてココ一発的に登場するギルモアのギターは感動的だ。

10. Southampton Dock(2:10)
11. The Final Cut(4:45)
 ちょっと初期のフロイド流フォークを思い出させるアコースティックな仕上がり前者は、やはり場面転換的な間奏曲といえるだろう。タイトル・トラックはその後のウォーターズのアルバムの終盤に共通するような、「ドラマが終わって日常生活に戻る安堵感」のようなものが感じられる曲調で、これはじわじわと盛り上がり、例の爆発音でピークに達するドラマチックさもあいまって、なかなか感動的な仕上がりになっている(ギルモアのギターも気張っている)。私はこのアルバムを聴いて、その内容をほとんど覚えていなかったが、この曲はかろうじて覚えていた。

12. Not Now John(4:56)
 これは映画でいったら、ドラマの終わりを受けたエンドタイトルみたいなものだろうか?。本作では異質なくらいバンドっぽいアンサンブルで仕上げられ、突き抜けたムードも感じさせる(「One Of The Few」が再現されるが)。また、リードボーカルはギルモアが一部担当している。もっとも、女性コーラスはこれ以降のウォーターズのソロでのパターンに準じたアレンジだが。

13. Two Suns In The Sunset(5:23)
 これも本作では数少ないフロイドを感じさせる作品。ちょっと「炎」の時期の彼らを思わせるムードもあるが、ドラマ的にはこの曲はどういう案配なのかよくわからないところもある。「ウォール」もそうだったが、ドラマらしいドラマが終わっても、かなり延々と注釈しているというか、エンドタイトルの後にもうひとつエンドタイトルがついたような、ちょっとすっきりしない感がなくもない。

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コメント

>旧来のファンにとってはどうなのだろう?。

新しいCDを買ってないので、iTunesでベスト盤収録のWhen The Tigers Broke Freeを突っこんで再現してみたけど、違和感ないですね。

話しの流れが自然だからか、A面そんなに聴いてなかったからか?

> A面そんなに聴いてなかったからか?

穴が開くか、透視できるほど聴きまくってるのかと思ってたわ(笑)。
まぁ、アーティスト自身による追加だし
そういうことにはこだわりまくる人だから、
あるべきところに収まったということなのかなぁ。

この時期のフロイドは「ウォール」にもライブだと
追加された曲があったりしてややこしいですね。

この作品の位置づけはオレの中では「ザ・ウォール外伝」で、そんなに聴いてないってば。

>この時期のフロイドは「ウォール」にもライブだと
追加された曲があったりしてややこしいですね。

Yong Lustの前に入るWhat Shall We Do Now?なんだけど、収録時間を理由にカットした割りに2分もないんだよね。

なんか?パンクに近すぎねぇ?って理由でスタジオ盤から削除したような気がするんだけど...

> Yong Lustの前に入るWhat Shall We Do Now?なんだけど、
> 収録時間を理由にカットした割りに2分もないんだよね。

オレなんか全く違和感ないけど、当時にしてはあまりに非フロイド的サウンドで、しかも長目のアウトロってことで、メドレーが長くなりすぎるって判断だったのかな。一方、「The Last Few Bricks」は3分で、ここには「Empty Spaces」の再現もあるから、本来なら構成上必須なんだろうけど、完成品に入れるにはぐといって判断したのかもしれないですね。

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