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2010年4月22日 (木)

DUNCAN MACKAY / Chimera

15900788

 知る人ぞ知るキーボード奏者といえるダンカン・マッケイが、1974年に残したファースト・ソロ・アルバムである。彼は南アフリカ出身なので、本作は渡英する直前に母国で録音されたものらしい。本作がどの程度有名なのか、私にはよくわからないが、彼は渡英後コックニー・レーベルに参加中に残した「スコア」は、ほぼリアルタイムで国内発売されたこともあって比較的知名度が高いものの、本作に至ってはほとんど知られていない「埋もれた作品」だったと思われる。
 なにしろ、70年代の終わり頃にジョン・ウェットン、アンディ・マカロック、メル・コリンズ等豪華メンバーを率いて制作された「スコア」を聴いて、あまりのすばらしさに驚喜して、彼の名前を注意深くチェックするようになった私ですら、このアルバムの存在は近年まで全く知らなかったのだから、後は推して知るべしという感じであろう。

 さて、本作だがダブル・キーボード+ドラムスというトリオ編成での演奏で、基本的にはゴードン・マッケイ(弟?)がベーシックなパートをピアノ系の楽器で担当し、ダンカン・マッケイはその上を縦横無尽に走りまくるというグリーンスレイドばりのスリリングなスタイルで演奏されている。1曲目の「Morpheus」はとりあえずボーカルをフィーチャーした作品にはなっているものの、勘所はエレピ+ハモンドオルガン+ドラムスのアンサンブルでもって、目まぐるしいほどのリズム・チェンジとナイスやエクセプションを思わせるフレーズで埋め尽くされていて、典型的な鍵盤プログレになっている。
 また、驚くのは2曲目の「12 Tone Nostalgia」で、なんと全編に渡って次作の「スコア」使われる旋律がフレーズが散りばめられているのは驚いてしまう。まさに次の大傑作「スコア」の予告編かような作品になっているのだ。もちろん「スコア」のような完成度はなく、ホーム・デモのような仕上がりなのだが、ひょっとすると、「スコア」をプロデュースを担当したジョン・ウェットンはこの曲に目をつけて、数分ずつの曲にバラした上で交通整理をして作り上げたのではないか、などと推測したくなるような実に興味深いトラックになっている。

 3曲目は多分旧B面を使い切った20分の組曲で、雷鳴のSEから始まるドラマチックな大作になっている。特にテキスト化されたようなストーリーはなさそうだが、1曲目同様、激しいリズム・チェンジとクラシカルなムード、テクニカルなフレーズがつるべ打ちされた、ちょうどレフュジーがやった組曲のような、典型的な鍵盤プログレの様相を呈している。ダンカン・マッケイのキーボードは、リック・ウェイクマンな賑々しいフレーズとパトリック・モラツ的名技性、そしてジャズ的なムードなどヴァーサタイルなプレイに特徴があり、それは次の「スコア」で全面的に開花する訳だけれど、この組曲でもそれが十分に堪能できる。むしろグリーンスレイドにも迫ろうかというダブル・キーボードなスタイルの分、プログレ度は強いくらいである。
 という訳で、これはなかなかの傑作だ。完成度としては次作に遠く及ばないものの、この執拗なまでの鍵盤へ執着ぶりはマニアならニヤリとするところだろう。また、いかにもマイナー・レーベルでの録音しました的なナロウでモコモコした音質も、ユーロ・ロックのレア盤らしい雰囲気があって楽しいものだ。

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