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2010年3月15日 (月)

FOCUS / Focus 1 - 3

Van_leer_2


 数日前にツイッターでのやりとりで、フォーカスのナンバリング・シリーズで欠番の話が出た。欠番というのは実は「Focus 6」のことで、先日、タイスのソロ・アルバムを取り上げたのは、実はそれがきっかけになっていた。更にそれがきっかけになって、いつかはやってみたいと、長年思っていたことさきほどからやっているところである。それは、このナンバリング・シリーズを順番に聴いていくというものである。以前だと、1曲毎にディスクをとっかえひっかえしなくてはならず、面倒くさくてやる気にならなかったのだか、今はiTunesでリストをつくれば簡単にできる。思い立ったので先ほどリスト化して、さっそく聴いているところなのである。そんな訳で、何回かに分けて、フォーカス・ナンバリング・シリーズを曲毎にレビューしてみたい。今回は「フォーカス」から「フォーカス3」までの3曲である。

● Focus  - In and Out of Focus (1970)
 シリーズ最初の作品で、デビュー・アルバムにはボーカルとインストの2ヴァージョンが収められている。前者はボーカルがテーマを歌った後、ギターが長目にソロをとりつつ、そのまま終わってしまうという、あっさりした食い足りないアレンジになっているが、後者の方はヨーロッパ風なロマンティックさと頻繁にリズム・チェンジしてドラマチックに盛り上がるアレンジなど、既にかなり「フォーカスらしさが出来上がっている」ところを見せる。ただし、何故かウェストコースト風なところなどが混入していたり、リズム・チェンジ後のギターやフルートをフィーチャーしたロック的な展開にややくどさがあったりと、全体にアレンジが泥臭いものになってしまっているのも事実だ。
 後年のタイスなら、そのあたりをコンパクトに、しかも洗練されたアレンジしたであろうが、この時期のフォーカスは未だ試行錯誤の段階だったのだろう。ちなみに「Introspection」に収録されたオーケストラ・ヴァージョンは、そのあたりの不満を解消した、次の「Focus2」と比べても、なんら遜色のない仕上がりになっている。

● Focus_2 - Moving Waves (1971)
 やはりフォーカス・ナンバリング・シリーズ最大の名曲といったらこれか?。厳かなイントロ、ピアノとオルガンのイントロに甘いギターが絡み、ロマンチックに進んでいくと、突如、リズムチェンジしてドラマチックな展開へ突入、そのハイライトでの泣きのギターが登場するという、まさにプログレとしかいいようがないアレンジは今も全く色あせていない。今聴けば別にどうということないが、ロックにこういう映画音楽的ロマンティシズムが導入するというのは、当時(1971年)、非常に斬新な試みではあったし、こういうロマンティシズムというものがロックに乗ってしまうものだということを知らしめたという点でも、この曲はエポックなものだったと思う。もっとも、こうした泣きのギターをフィーチャーしたロマンティクなプログレといったら、その後はフォーカスではなく、むしろキャメルあたりが引き継いでいくことになるのだが....。
 なお、「Introspection」に収録されたオーケストラ・ヴァージョンは、大貫妙子が聴いたら、喜びそうなまさにヨーロッパ映画的ムード満載の、この曲の地がよく分かる優美極まりない仕上がりになっている。

● Focus_3 -Focus III (1972)
 陰影に富んだオルガンのイントロからギターの泣きでハイライトへ....というパターンはFocus_2とほぼ同様だが、むしろ、ここではアッカーマンのバイオリン奏法によるギターが、様々な表情を見せつつ、じわじわと盛り上がっていくあたりのプロセスが、最大の聴きどころではないと思う。この時期のフォーカスはインプロヴィゼーションに傾斜していた時期に当たるせいか、この曲はアッカーマンのショーケースのようなアレンジになっているのが特徴だ。ちなみに、この曲、次にメドレーでつながる「Answers? Questions! Questions? Answers!」への前奏みたいな側面もあったせいか、単体の作品としての盛り上がりは「Focus2」今一歩譲った感があるのは曲のコンセプトとみるべきだろう。
 ちなみに、オーケストラ・ヴァージョンは「Introspection 2」に収録されている。アレンジはアッカーマンのパートをタイスのフルートに置き換え、全体的にイージー・リスニング調の軽いムードに仕立て直している。リズムチェンジした後のパートなど、まさにドキュメンタリー「欧州紀行」のサントラといった風情である。

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コメント

リチャード・ライトが亡くなった頃(2008年の初秋…、ちなみにビル・エバンスと同じ9月15日が命日)、ちょうどフォーカスを最初から聴き直して某ミクシーに書いてたんだけど、改めて探したら、中途半端で終わっていた。

改めて付き合わせていただきます。

ツイッターにしても、こういうコメントでも、昔だと書きながらCDの山が出来たんだけど、iTunes起動すればいいだけなのでホントに便利な世の中。

だいたい持っていなくても、かなりの守備範囲でYou Tubeでとりあえず聴いてみることが出来るというのは、10年前に較べて格段の進歩だねぇ。

> ツイッターにしても、こういうコメントでも、
> 昔だと書きながらCDの山が出来たんだけど、
> iTunes起動すればいいだけなので

自分場合、プログレは1000枚もライブラリ化してないので、iTunesに入っていないアーティストの話題には乱入しないようにしています(笑)。


> だいたい持っていなくても、かなりの守備範囲で
> You Tubeでとりあえず聴いてみることが出来る

そうそう、あそこからC.E.とか使って、iTunesのライブリに直に登録できたりしちゃいますかねぇ。なんか、困ったような、うれしいような(笑)。

>なんか、困ったような、うれしいような(笑)。

前に書いた、主に若い世代がYou Tubeで充足してしまってCDの購買に向かわないってのは、この辺りのことなんだけどさ、オレらだと、聴いて良ければ、コレを自宅のライブリーにおかないのは、当家末代までの恥!とかおもうじゃない?

そういう物欲が若い世代にはないのか? 思う方が変態なのか?よくわからん。

> オレらだと、聴いて良ければ、コレを自宅のライブリーにおかないのは、
> 当家末代までの恥!とかおもうじゃない?

だねー、もうこれだけ、無料であれこれ視聴できちゃうと、「音楽なんぞ、お金出して購入するもんじゃねー」から一歩進んでさ、「音楽共産主義」みたいに思っちゃってる人も出てきてるんじゃないのかな(笑)。

> そういう物欲が若い世代にはないのか?

お金がないんだよ....ってーか、音楽は宝物じゃなくて、日常に欠くべからざる消耗品なんじゃないのかな。

>当時(1971年)、非常に斬新な試みではあったし、こういうロマンティシズムというものがロックに乗ってしまうものだということを知らしめたという点でも、この曲はエポックなものだったと思う。


普段あんまり意識してなかったけど、この手の曲の開祖?ってくらい当時としては新しいものだったんですねえ。「マザー・フォーカス」のソフト&ハード・バニラ辺りが、後のクロスオーバー&フュージョンの先駆けくらいに思っていたけど、完成されているというてんでは、このFocus2かなあ。

>「音楽共産主義」みたいに思っちゃってる人も出てきてるんじゃないのかな(笑)。

著作権は一部特権階級の作曲家のみにあるものではなく、万国プロレタリアート共有の権限であって、平和のために使用するには、この権利を放棄するものである。みたいな(笑)?

> 完成されているというてんでは、このFocus2かなあ

ロマンティックな映画音楽みたいな要素をロックに取り入れるというのは、ある意味、当時のロックでは禁じ手でしたからね。クリムゾンのメロトロンとかにもそういう要素はあったけれど、文学性とかプロテスタントとかそういうもんを表現するための手段としてそれを取り入れたみたいなエクスキューズがあった。だけどフォーカスの場合はあっけらかんとやっちゃんたんですよね。その後はキャメルかな。で、時代の要請で、このあたりが一般化して来ると、渋谷陽一が例の有名な「スタイルとしてプログレ批判」を展開することになる訳ですよね。

> 著作権は一部特権階級の作曲家のみにあるものではなく

しばらく前にとある高校生達たちと、1時間くらいかけて、この手の話をじっくりとしたことあるんですよ。そうするとさ「音楽なんてみんなが聴いて楽しむものなんだから、あんなものタダでもいいんだ」みたいに、素朴かつ頑なに思い込んでいる人って、けっこういるんだよね。いろいろ説明すると、納得はしてくれるんだけど、そうすると今度は「タダであるべきだ」みたいなベキ論になってくるんだよな(笑)。いやぁ、あなたが「どうあるべきか」を論ずるのはやぶさかではないんだけど.....。そしたら、他の生徒が現実問題として、音楽で飯食ってる人がいて....みたいな話になって、けっこうおもしろかったっすよ。

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