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2010年2月 3日 (水)

PINK FLOYD / Pulse (DVD)

Pink_floyd_pulse_dvd_2005


 「対」発表に併せた1994年のワールド・ツアーでの映像(2005年のリイシュー)。再結成フロイドについてかなり毀誉褒貶が激しいものがあるが、こと私に関していえば再結成フロイドにはけっこう好意的だ。とくに第一弾の「鬱」は大好きなアルバムで、これをひっさげて敢行された十数年ぶりに日本公演も、これを逃してはなるものかと、代々木のプールにはせ参じたくらいである。「鬱」や「対」といったアルバムは、デイブ・ギルモアの音楽であって、フロイドの音楽ではないという批判するのは簡単である。が、それをいうなら、解散間際のフロイドの音楽だって、あればフロイドではなく、ロジャー・ウォーターズの音楽じゃないか、という文句だってあっていいハズだ。私のようにフロイドの最初に聴いたアルバムが「原子心母」で、「炎」....いや、「アニマルズ」あたりで、いったんフロイドへの音楽的関心を失ってしまったようなリスナーにとってはなおさらである。その意味で、再結成フロイドの音楽は、私にとって1970年代初頭の頃への回帰として心地よく響いたのである。

 さて、本作では元々もの凄い物量をかけたステージを、ふんだんに資本を投下して映像化した作品だけあって、一個のコンサート・ヴィデオとしても素晴らしく充実した内容になっている(ブートから起こした本編未収録曲のボーナス映像などもふんだんに収録)。また、前述の通り、ギルモア主導の音楽であるとはいえ、やはり往年のフロイドのメンバーがとりあえず3人がステージにいるという視覚効果(アリバイというべきか-笑)は凄いものがある。当然といえば当然かもしれないが、先日観たデイブ・ギルモアのソロ・コンサートに比べると(ここにはリック・ライトは一応名を連ねていたが)、音楽的な実質はほとんど変わらないような気もするのだが、やはりフロイド的なオーラを強く感じさせずにはおかない。
 いわく、本当はたいした意味などないのかもしれないが、妙に意味深に聴こえる曲のプロローグ、暗鬱でなにやら悲劇を暗示するようなムード、安息の地を求めて、どこかを彷徨っているような浮遊感覚、冷え冷えとしているようで、妙な温もりがあるサウンドの感触などなど、少なくとも私には、70年代前半のフロイドが持っていた「妙に心地よいサウンドによる孤独感の表現」のようなものが復活しているように感じられた(もっとも、ロジャー・ウォーターズが不在になって、その意味深なサウンドやムードが空虚に聴こえるという意見も納得できないでもないが)。ちとオーバーいえば、「狂気」の後、フロイドはその後辿った既定の歴史とは、また別の音楽的展開がありえたのではないかと考えさせたりしたほどである。

 ちなみに3人のコーラス隊の真ん中に、陣取っている美しい白人女性はサム・ブラウン。往年のファンならご存じかと思うが、70年代のブリティッシュ・ロックの名作でバック・コーラス隊として常連だったヴィッキー・ブラウンの娘である。彼女はソロ・アーティストとしても評価の高い人だが、ジョン・ロードのアルバムなどでも見かけることも多く、母親譲りのこうした活動もしているようだ。ついでにもう一点、サイド・ギターのティム・レンウィックは70年代から常に地味ではあったものの、堅実なセッション系ギタリストとして活躍して人で(そういえば彼もジョン・ロードのアルバムによく参加していた)、このステージでは意外にも数多くのソロ・パートも担当している。てっきりギルモアが弾いていると思ったところが、実は彼だった....というところが何カ所もあったりする。こんな端役も活躍振りを拝めるのが、DVDの楽しいところである。


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コメント

記事を書きながら、これどっかでとりあげてたよなぁ....とか思っていたら、某SNSに2008/1/15に書いておりました。内容にだぶりはありますが、全文引用としてきます。

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 先の自宅の40型の液晶テレビを導入して、ようやく自宅のAV環境も格好がついたところで、あれこれ映像関連のソフトを観まくっているところなんだけど、こちらはつい最近でたもので、既に映像、音共に定評のある作品。元々は95年に出た「Pulse」という2枚組のライブ盤の映像版という位置づけで、VHSビデオとして出ていたものらしいんだけど、とにかくこのツアーは凄いものだったらしくて、この映像のDVD化もずいぶんこと長いことファンには待望の代物だったらしい。

 実際視聴してみると、とにかく内容的にはフロイドらしくこだわりまくっている。音声チャンネルだけで、リニアPCMの2チャンネルの他、Dolby-Digital 5.1chの480kbpsと640kbpsが収められているのだ。さすがにここまでレートが高いとリニアPCMと比べても音質的にはさほど遜色ないし、オーディオのセットアップ用のコンテンツがついているあたり、さすがはフロイトという感じである。もっとも映像は90年代中盤の収録だから、当然ハイヴィジョンではなく、現在のソースと比べるとかなり見劣りがしてしまうが、この時期のものとしてはかなり良質な部類になるのではないか。

 選曲は以下の通りだ。CD版とは選曲そのものがが多少違っているし、同じ曲でも収録テイクが微妙に違っているような気がする。演奏そのものは、かつてのような研ぎ澄まされたような緊張感は当然ない、ただしみのバンド特有の浮遊感のようなものはしっかり温存しているのは有り難い。また、良い意味でリラックスした演奏であり、少なくとも私にはそのあたりは心地よく響いた。この時期のフロイドは、一応ライトやメイソンも名を連ねてはいるものの、メインは誰がみてもギルモアだから、このステージでのちょいとレイドバックしたうな、ダルな感じは彼の個性がバンドを浸食した結果なんだろうと思う。

 あと、どうでもいいことだが、このパフォーマンスにリッチな厚みを加えている3人のコーラス隊の真ん中で女神のような風情で歌っているのは、サム・ブラウンで、70年代のイギリス系のソースで女声バック・コーラスといえば常連だったヴィッキー・ブラウンの娘である。私は個人的にこの人のことが大好きなので、お姿を拝見できただけでもうれしくなった。ついでに書くとセカンド・ギターはティム・レンウィックで、このふたりはジョン・ロードあたりと連なる人脈で、渋いプレイはなかなのもである。あと、できればベースはウォーターズとはいわないけれど、トニー・レヴィンあたりだったらもっとよかったかなぁ....と、ちらっと思った。

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01 クレイジー・ダイアモンド
02 幻の翼
03 運命の鐘/
04 テイク・イット・バック
05 転生e
06 時のない世界
07 キープ・トーキング
08 アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール(Part 2)
09 吹けよ風、呼べよ嵐

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01 スピーク・トゥ・ミー
02 生命の息吹
03 走り回って
04 タイム~ブリーズ(Reprise)
05 虚空のスキャット
06 マネー
07 アス・アンド・ゼム
08 望みの色を
09 狂人は心に
10 狂気日食
-ENCORE-
11 あなたがここにいてほしい
12 コンフォータブリー・ナム
13 ラン・ライク・ヘル

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 2006年に発表されたデビッド・ギルモアの18年振りのソロ・アルバム「オン・ア [続きを読む]

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