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2010年2月14日 (日)

KING CRIMSON / Red (40th Anniversary Series)

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 クリムゾンの初期の盤歴から三作が選ばれた40周年記念シリーズの最後の作品。70年代クリムゾンの実質的な最終作であり、それが意図されてこうなったのか、たまたまそうなっただけなのかはよくわからないものの、デビュー期からここまでのクリムゾンの全活動を総決算した内容になっている。この時期のクリムゾンは既にメンバーが3人だけとなっていた訳だけれど、本作ではイアン・マクドナルド、メル・コリンズなど歴代サックス奏者など様々なメンバーが参加していることも、そうした趣を一掃強めることになっていた。
 もちろん、キング・クリムゾンはその後に何度も復活して、現在も一応バンドは存続している訳だけれど、やはり往年のファンにとっては「キング・クリムゾン」といえば、まずはこの時期のクリムゾンのことであり、本作そのその掉尾を飾る作品ということで、ある種の感慨を抱かざるを得ないファンも多いのではないか。当然、私もそうである。

 さて、この新装版だが、前2作同様、DVD-Aディスクには、5.1chのサラウンド・ヴァージョンが収録されている(ただし、「リザード」のようなアナザー・リミックスがある訳ではない)。今回もまずはサラウンド・ヴァージョン(MLP Lossless 5.1ch)から聴いてみた。冒頭の「レッド」では、まずビルのドラムスが左右前後に大きく広がる音場を形成して、やけに立体的に響くのに驚く、この曲は基本トリオで演奏している訳で、そのダイナミズムの基盤にはまずビル・ブラッフォードがある....というコンセプトなのであろう。オリジナルに比較してそれほど抜けが良くなっている訳でもないが、この立体感は中々のものだ。
 「堕天使」は冒頭のSEが部屋の中を一回りするギミックにのって、例にってボーカルはセンターに定位、フリップのタビングされたギターはそれぞれ左右、前後にかなりピンポイントにバランスされ、管楽器群はオーケストラよろしく前方に広がりをもって展開されているという感じで、先の「リザード」の似たようなコンセプトでリミックスされているようだ(ある意味で「リザード」的なものを思い起こしたような曲でもあるし)。

 本アルバム中、もっともビルのドラムが炸裂する「ワン・モア・レッド・ナイトメア」は、多分、フリップもそう思ったのであろう、従来のヴァージョンに比べ、ドラムスがよりオン気味にバランスされているように感じる。とにかくビルのドラムの動きが明瞭に聴こえてくるのが印象だ。「プロヴィデンス」はご存じのとおりライブ音源の流用だから、マルチマスターはそれほど好条件でもなかったのだろう。全三曲に比べると比較的地味なリミックスになっている。基本、左にギター、右にヴァイオリン、センターにベースという割振りだが、こう2つに分けただけでも分離感は2チャンネルとはかなりイメージが違うのはおもしろいところだ。
 名曲「スターレス」は珍しくフリップのギター(当然ボーカルも)がセンターから聴こえ、左にメロトロン(左の前後に広がるパターン)、右はサックスという割振りである。ボーカルとギターが真ん中にきて左右と分離させたため、これに干渉されなくなったメロトロンとサックスの音色が生々しい。後半のエキサイティングな展開部は音の塊が押し寄せてくるような従来のイメージからすると、かなり計算ずくのアンサンブルだったことがよく分かる音になっているともいえる。

 という訳で、本作はそもそも前2作に比べると、かなり削ぎ落とした音数で勝負したアルバムだっただけに、装飾音が満載でそれをうまく交通整理した「リゾード」のような新鮮さは今一歩だと思う。ただ、「リザード」同様、エコーをもっぱら後ろに回したせいだろう、各楽器のエッジとSN比はかなり上がっていて、特にビル・ブラッフォードのドラムの動きが良くわかるので、ファンならこれだけでもかなり楽しめることと思う。
 ちなみにボーナス・トラックは「堕天使」のオフ・ボーカル・ヴァージョンに、「プロヴィデンス」のフル・ヴァージョンと「A Voyage To The Centre Of The Cosmos」の三曲。後の2曲は「The Great Deceiver」に収録されていたものと基本的には同じで、前者は「レッド」ではカットされた数分間のコーダがついていて、後者は「アズペリー・パーク」スタイルのアップ・テンポなインプロとなっているが、いずれにしも既に公開済みのソースなので、それほど有難味があるものではない。

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コメント

DVDの方はボーナス映像に1974年3月のフランステレビ局が収録した4曲が入っていて、オレはこれ見たこと無かったので嬉しかったですね。

欲を言えばこの時期の"Talking Drums"~"Larks Tongues In Aspic part II "なんかの激しいやつなら言うこと無し。

CDの方はリミックスの効果が今回の3枚の中では一番地味でした。

> DVDの方はボーナス映像に1974年3月のフランステレビ局が収録した
> 4曲が入っていて、オレはこれ見たこと無かったので嬉しかった

同じく。
後年の余裕綽々のそれではなく、まさに前人未踏ドラミングに突入した直後だった時期なせいか、歯を食いしばってジェイミュー・ミューアのパートまでフォローしているビルに視線釘付け(笑)。映像付きでみると、この時期ピルの凄さが改めて、しかもビビッドに伝わってきましたっす。

この頃のビルはファッション・センスを除けば(笑)、完ぺきですね。

> ビルはファッション・センスを除けば(笑)

フィル・コリンズにジョン・ウィザースなんかも、あのペンキ屋さんみたいな格好してよね。あれはドラマーにとって、どこが機能的に出来ているファッションなんだろうか?。昔、某場所でその手の話題は何度か出たように思うが、けっこう謎だ。

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