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2010年2月22日 (月)

KEATS

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 これも今頃になって聴いたピーター・バーデンス関連作品。ご存じの通りこのキーツは一応ピーター・バーデンスがリーダー格にはなっているが、英国の比較的知名度の高いメンツを集めた上で、全体はアラン・パーソンズに仕切らせて上で制作された、アリスタ・レーベルからの一種の「戦略商品」であった。おそらくこれを発表した時期に一斉を風靡していたエイジアの成功が念頭にあったのだろう。集められたメンバーはバーデンスの他、ゾンビーズのコリン・ブランストーンがヴォーカル、パイロットからイアン・ベアンソンのギターとディヴィッド・ペイトンのベース、、英国のセッションドラマーとしては最高の安定度を誇ったスチュワート・エリオットという、地味ながら中々のメンツを揃えている。
 また、前年に発表されたキャメルの「シングル・ファクター」と、パイロット組を始めとしてメンバーが何人か共通しているのもおもしろいところだ(そういえば、かのアルバムにはバーデンスがゲストで参加していた)。インタビューでは、キャメルがポップ化したのをパーデンスのせいにしたがるラティマーであるが、結局はバーデンスに先んじて同じような音楽をやっていた訳である(笑)。

 さて、アルバムの内容だが、アラン・パーソンズのプロデュースで、集まったメンバーがこれだから、当然アラン・パーソンズ・プロジェクト(APP)のスピンアウトのような仕上がりである(調度1977年のアンブロージアがそうだったように....)。ピアノ、ベース、ドラムが作り出す太くシンプルなリズム(ベースとバスドラムのユニゾンを多用)を底辺にして、シンセが立体感のある空間を演出、そこにポップでソフトなヴォーカル&コーラス、そして伸びやかなギターが乗るという、このバンドの基本サウンドはまさにAPPの方程式といってもいいと思う。
 もちろん、APPに比べれば多少ハードなサウンド(というかバンドっぽい音というべきか)ところはあるし、ボーカルもけっこう歌い上げ系になっているので、当時流行っていた「産業ロック」なところも感じさせるが、あまりそういう方向に大きく舵を切ることなく、いかにも英国産といった感じの穏健さとまろやかさ、クウォリティは高いものの、常識的なサウンドに終始しているあたり、やはりアラン・パーソンズが仕切ったことを如実に物語っている。なにしろクレジットを見れば分かるとおり、本作のキーボードはバーデンスだけでなく、共同プロデュースに当たったトニー・リチャーズが弾いていたりするのだから、制作時のバンド状況もわかろうものである。

 とはいえ、バーデンスらしい色彩は前回取り上げた「ハート・トゥ・ハート」同様、随所に感じられる。1曲目「Heaven Knows」のちょっと切なさが入り交じったドラマチックさは「レインダンセス」の頃を思わせるし(ちょっとコリン・ブランストーンのヴォーカルは違うな....と思うけれど-笑)、サックスをシミュレートしたシンセ・ソロは、その後バーデンスのメルク・マールになるサウンドだ。またメドレー風につながる2曲目「Tragedy」はエレピや白玉のサウンドがどことなくキャメルを思わせたりもする。6曲目の「Turn Your Heart Around」もかなり体育会系のアレンジにはなっているものの、基本的には「水の精」とか「雨のシルエット」といった曲と共通する陰影を持った曲だ。
 という訳で、私のようにバーデンスらしさを期待しつつ聴くと、多少、「ねじ曲げられたな」みたいな感を抱かざる得ない音楽だと思うが、84年に作られた産業ロックというか、プログレの残光を感じさせるポップなロックとして聴けば、これは中々の仕上がりだと思う。こんなこと云ったら怒られるかもしれないが、そういう面でのクウォリティは、むしろキャメル本体の「シングル・ファクター」より高いような気がする。これが目論み通りヒットしていたら、バーデンスはその後、どんな人生を歩んだのだろう?。

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