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2010年1月27日 (水)

KING CRIMSON / In the Court of the Crimson King(40th Anniversary Series)

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 ブログレを語るブログの第一弾が「クリムゾン・キングの宮殿」というのは、あまりにガチ過ぎて、気恥ずかしいところがないでもないのだが、つい先日、クリムゾン結成40周年アニバーサリーということで、本作、「リザード」、「レッド」の3枚が新装発売されたところでもあり、初心に帰る....などと思った訳でもないが、まずは本作を取り上げることにした。

 クリムゾンは既にこれまで全アルバム、そして多数のベスト盤でリマスターの類を何度も行ったが、今回は3枚はそれらとはいささか趣の異なるものである。何が違うのかといえば、本作はリマスター盤ではなく、厳密にいうとリミックス盤なのである。2chステレオにリミックスされた音声が収録されたマスター・テープを整音するのではなく、その上位にあるマルチトラックで収録された大本のテープから新たなリミックスを施したマスターを作り上げているのだ。しかも従来の2chはもちろん、ボーナス・ディスクとしてなんと5.1chに落としたサラウンド・ヴァージョンを収録しているのだからたまらない。早速聴いてみよう。

 まずは、従来からの後継となる2chヴァージョンから、私の聴いたのは24Bit/96KHzというハイ・レゾルーションなグレード(CDは16/44.1)に落とされたDVD-Aヴァージョンだが、一聴してリミックス&リマスターの効果が実感できるなかなかの音質だ。「クリムゾン・キングの宮殿」といえば、しばらく前まではマスター・テープ紛失という事情により、大分下のジェネレーションのマスターを使用したCDが出回っていて、こと音質に関しては長いこと不遇をかこっていたのだが、2004年のリマスター盤ではようやく発見されたオリジナル・マスターを使ってヴェール1枚分音質が向上、今回は更にリミックスが効を呈したのだろう、ほとんど決定打ともいえる音質になっている。

 ボーカル、メロトロン、管楽器、そしてギターが錯綜し、とかくモコモコしたダンゴ状になりがちだったあのサウンドが、オリジナルのムードを裏切らない程度に(これが重要!)見通しの良いサウンドにリフレッシュしているのは、やはりリミックスからやり直しただけのことはある!と納得できる仕上がりだ、もっともマルチからやり直すのだから、ドラムやベースに更なる重量感が加味されるかとも予想していたが、これについてはさすがに加工にも限界があったのか、分離は抜群に良くなったが、音の質感は昔通りナローなままだ。また「風に語りて」の木管アンサンブルからギターに至る中間部、「エピタフ」のクロスフェイド、またまたエディットされた「ムーンチャイルド」、ベーシック・トラックに入っていたと思われるピアノが聴こえてきたりと、従来とは違った聴こえ方をするところも散見する。

 一方、5.1chのサラウンドの方は、マルチマスターが8トラック程度では、楽器単位でスピーカーに割り振ることが困難だったのだろう、サラウンド・ヴァージョンにありがちな派手な効果は見られないものの、ボーカルは終始センター・スピーカーにぴたりと定位しており、これだけてもかなり分離感が上がった印象がある。タイトル・トラックなどレイクボーカルがセンター、前後左右からのマクドナルドのコーラスが聴こえてくるあたりの効果は、実に新鮮さがあるし、メロトロンが響きも後ろにも広がった分、これまでのような飽和感がなくなりずいぶん開放的な音になっているように感じた。またリミックスに際して多少デジタル・エフェクターで残響などを付加しているようなところもあるようで、好き嫌いは当然あるだろうが、少なくとも立体感という点は2chヴァージョンとは雲泥の差がある仕上がりだ。

 ちなみにDVD-Aにはボーナス・トラック扱いで、アルバム全ての曲の別ヴァージョンが聴くことができる。「21世紀」はボーカルとサックス抜きのトリオ・ヴァージョン、「風に語りて」はスタジオ・ランスルー、その他は別ヴァージョンだ。CDの方には「オリジナルの起承転結をいじくらない」という、長年の慣例を破って(?)、ついにボーナス・トラックが入った。「ムーンチャイルド」のオリジナル・ヴァージョン、「風に語りて」のGG&F風なアコスティック・ヴァージョンとミックス違い(ソロが異なる)。「エピタフ」のカラオケなどが収録されている。あと「ウィンド・セッション」は「21世紀」冒頭のSEをあれこれいじくっている模様が収録されているが、とりたてて有難味のあるものでもない。

 という訳で、私にとっては既に完璧な耳タコ・アルバムで、よほどのことがなければ、近年めったに聴こうという気にならない本作ではあったが、さすがにここまで商魂たくましく(笑)、リニューアルされていたせいもあったのだろう、久しぶりに楽しんで聴くことができた。ついでに書けば、このシリーズの他の2作はリミックス&リマスターのための物理的条件が更に良いことは自明なので、本作以上にリニューアルの仕上がりが期待できそうである。

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コメント

2009年バージョンは、スティーヴン・ウィルソンがリミックスに参加しているんですね。そのことがまず驚きだった。

各楽器がホントに新鮮に聞こえるし、30周年のリマスター時には、指摘されているように、この「宮殿」だけがオリジナル・マスターがないという状況だったので、今回の40周年リマスターは満足してます。

個人的に一番嬉しいのは「ムーンチャイルド」のノーカット版追加収録だったりして(笑)。

> 個人的に一番嬉しいのは「ムーンチャイルド」のノーカット版

オレの場合は、本文のところでも書いた、24Bit/96KHzで収録されたDVD-Aの2chヴァージョンということになるのかなぁ。あの後、一応CDの方も聴いてみたのだけれど、その音の差は歴然としたものがあって、「これで24Bit/192KHzとかSACDだったら、どういう音になるんだよ、おい」とか思ってしまった。とはいえ、こういう耳タコソースは、驚くのは最初の数分だけで、それまですり込まれた記憶でもって、耳に聴こえてくる情報量も自動的に補正してしまうんですけどね(笑うしかねー)。

たださ、今回のリミックス版、お世辞抜きにエピタフや宮殿(曲の方)が瑞々しく聞こえます。

エピタフのアコギなんかは素晴らしい!

オレは金ケチって2004リマスター盤とのカップリングバージョン買ったんだけど、2004の方はあれにしか収録されていないボートラ入っていて、結局全部買わされるのか?と…ホントに阿漕

お後がよろしいようで。

> オレは金ケチって2004リマスター盤とのカップリングバージョン買ったんだけど

6枚組ってのもあるようですね。既に歴史的に完結してしまったビートルズと違って、一応現役バンドなんで、どこぞのモノミックスとかシングル・ヴァージョンあたりまで追いかけるマニアックさもさすがにないす(笑)。

> 結局全部買わされるのか?

この分だと新しいオーディオ・フォーマットが出てくる度に付き合わされそうっすな。最終的にはマルチトラックをそのまま提供するんじゃないかと....(ジャイルズやビルのドラムのトラックだけとかなら聴いてみたい、「21世紀」のトリオ・ヴァージョンの音の良さ!)。ボーナス・トラックだって結局はテイク1から全部みたいななことになりかねない。

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